中国ドラマ「去有风的地方/Meet Yourself」にほっこりした件

今年も中国ドラマは話題作が豊富で、その中でもランキング上位に入ってくる1つがこの「去有风的地方/Meet Yourself」だと思います。2023年1月3日という新年早々のスタートだったので、もうすでに多くの方が視聴して感想もいっぱい出ていますよね。ここでは私個人が思ったことをピンポイントで語れればと思います。

オンエア:2023年1月3日~2023年1月23日

話  数:全40話

大都会北京の外資系五つ星ホテルのマネージャーで昇進も控えて忙しく働く许红豆(刘亦菲/リウ・イーフェイ

親友の死をきっかけに人生が分からなくなり、退職して雲南省の大理市へ長期の旅行へ行きます。そこで出逢ったのが、同じくロングステイしている個性豊かな面々と谢之遥(李现/リー・シエン)

彼らや地元の人々と交流して、自分自身や人生を取り戻していくドラマです。

このドラマ、監督と脚本が「家族の名において」と同じチームなので、どことなく似ているというか、伝えたいテーマや伝え方がやはり似ているので「家族の名において」が好きな人は好きだと思います。キャストもお馴染みのメンバーが勢ぞろいしているので、安定感あります。ちなみに私はこのドラマの方が好きです。理由は後程。

ここからはポイントで紹介

★ポストカードのような美しい風景と街並み

北京では父親の誕生日を忘れてしまうぐらい働き詰めで体調を崩してしまった许红豆でしたが、大理市のゆったりとした時間と美しい大自然に癒され、浄化されていきます。雲南省の大理市って聞いたことはあったような。でも実際は地図のどこにあるのかも知らないし、どんな文化や民族の人がいるのかも知らなかったので、このドラマ通して知ることができて良かったです。大理市はミャンマー北部に近い場所にあるため、やはり日本からは遠い印象(上海からでも直行便の飛行機で約4時間弱らしい)。周りは○○自治区といった感じの地区が多いので、確かに様々な独自の文化や民族がありそうな地域です。現在は観光地化のおかげで維持されている面もあるようです。ジレンマではありますが、日本も地方はそんな感じですからね。このドラマのおかげで訪問者が増加したとかしないとか。大変だとは思いますが、古き良き風景は維持できることを願うばかりです。

★ひたすら可愛らしい谢之遥の祖母

このドラマで絶対に外せないキャラクターといえばお祖母ちゃん!いつも笑顔で家族想いで働き者!祖母という立場だと、孫たちを甘やかしがちだと思いますが、このお祖母ちゃんはちゃんと叱ります。面倒見が良いだけでなく、甘やかす時も叱る時も全てにおいていつも全力で愛がいっぱい。嬉しい時に見せるクシャっとした笑顔がとても愛くるしい!

★李现/リー・シエン演じる谢之遥がカッコいい!

みんなから頼りされているTHE好青年。元々は北京でバリバリ働いていたのですが、退職して地元の大理へ戻って起業した若者の一人です。しかし、事業はまだ軌道に乗っていないので、借金はあるしトラブルも起こりまくり、巻き込まれまくりで毎日大変そうだけど、充実してる感じがまたポイントだと思います。许红豆に恋してからは、電話が掛かってきただけでお祖母ちゃんが呆れるぐらいテンション爆上がりしちゃう恋する男子。デスクトップの壁紙まで许红豆に変えちゃいますw

★ド直球の愛の告白

许红豆の大理出発前日、夕暮れ時の海岸沿いというロマンチックなシチュエーションで谢之遥がド直球の愛の告白をします。「好き!あなたは自分のタイプだし、一緒にいると毎日幸せ。自分が忙しくても、そうじゃなくても幸せ。」とか「後悔しているのが、自分が北京にいた時、あなたが働いていたホテルの前を何回も通ったけど、中に入ることはなかった。入っていたらもっと早くあなたに出会えたのに…今とは違う関係が築けたのかもしれないのに…」って切ない…しかし!そこからの「自分がやりたい人生を生きてね、幸せを願ってるから!」と言って送り出します。別れたくないけど、相手の幸せを願う告白は今までの恋愛ドラマとは一味違って、とても印象に残りました。

★亡き親友の両親との再会

大理滞在を終えた许红豆は、実家に戻るかと思いきや、亡き親友の両親を訪問してお線香をあげに行きます。彼女を大歓迎するご両親でしたが、亡き娘の写真の前では泣いてしまうお母さんを心配して数日滞在。一緒に買い物したり、白髪染めしてあげたり、写真や動画撮ったり…最後の夜はお母さんと夜通しアルバム写真を見ながら思い出話しで花を咲かせます。この流れがしっかり丁寧に描かれているんですよね。このドラマを視聴していた頃、仕事でお世話になった方の奥様が癌で亡くなったという悲報がありました。まだ30歳過ぎでお子さんは3~4歳ぐらい。でも、子供より義両親含めた年配の大人たちの方がずーっと泣いていると言っていました。大人たちは若者や子供たちに先立たれるのが一番辛いんですよね。それがこのドラマと重なって、ホロホロと涙してしまいました。ちなみに、谢之遥のステキな告白と親友の両親に会いに行く場面は同じ第26話なので、私の中では一番の胸アツ回でした!

★旅立つ人も送り出す人も、みんな幸せが一番

许红豆のフラットメイトでありビジネスパートナーでもあるナナは、かつてネット配信で世間に誤解を与えてしまったせいで誹謗中傷に遭い、逃げるように大理にやって来ました。大理では落ち着いた生活を送っていましたが、身バレしてしまい、ここでも居心地が悪くなります。でも、今までとは違うのは、それを心配して理解して付き添って支えてくれる人達がいること。でも大理から上海にいる両親の元へ帰ることに。そんなナナに、地元の年下男子が言ったのが

「お腹を空かせた人、後悔している人、泣いている人を帰らせないで。こういう人たちはいつも苦しんでるし、留まらせるのに失敗した人も苦しむからって母親が言ってた。もし帰りたいなら、幸せになるまで待ってからだよ。」

良いこと言う~!!! せっかく友達になって幸せだったのに、苦しそうに去る姿は見てられないですもんね。

私見では、この年下男子はナナに淡い恋心を抱いていて、もっと居てほしいという気持ちが絶対あるはず。でも彼女の決意や自分の立場(木工職人としては半人前なことやナナからしたら弟的存在なこと)を理解してる。谢之遥といい、この年下男子といい、この村の男子は顔だけじゃなくて言うことがイケメン過ぎる!

 

「家族の名において」は親と子を中心とした家族の関係が描かれていましたが、このドラマの親は、ずーっとめちゃめちゃ気に掛けているけど温かく見守っていて、そこが自分の親と似ていて共感。親って、子どもが無職だと気を揉むけど、仕事で忙しすぎると心配しちゃう。でも、子どもは親が思っている以上に逞しいし、心配せずに元気に長生きしてほしいと思ってる。何だか面白いですよね。でもこうやって気付く余裕がある自分は幸せだなと思いました。

それから、このドラマの恋愛模様の方がめっちゃ大人!全40話で最初の告白までに26話まで掛かっていることからも、人間関係の築き方も丁寧に描かれてます。そのことも含めて、私はこの作品が好きになりました。

つらつらと語りましたが、都会で忙しく暮らす人たちやネット社会に生きる人たちにとっては共感できるドラマになっていると思います。许红豆のお姉さんが妹を心配して娘と大理へ会いに来てくれる場面がありますが、バリキャリ姉は滞在中終始、仕事の電話対応してました。せっかく大理にまで来て…と思いますが、やってしまいがちでもありますよね。SNS社会から逃げてきた人もいれば、大理のような映える観光地にも勘違いして狂ったようなインフルエンサーみたいのが好き勝手に配信していましたし。忙しく働くのも、遊びも、リラックスするのも、家族や他人に心配や迷惑を掛けない程度に全力で、思いっきりですよね!年齢を重ねると新しいことに挑戦するのが怖くなるけど、许红豆のように、たまには立ち止まってから、ゆっくり一歩踏み出しても良いのかなと思えるドラマでした。