ドライブ in ウクライナ 彼女は「告白」を乗せて走る②

2022年2月に始まったロシアの軍事侵攻下で運転ボランティアとして活動することになる心理学者のリディアとその乗客との交流を描いたドラマです。全10話中5話までは2024年2月に放送され、6話目以降は制作中でしたが2025年無事に放送されました。

原 題:Pereviznytsya

英 題:In Her Car

制作国:ウクライナ、フランス、ドイツ、スイス、アイスランドスウェーデン

    フィンランドノルウェーデンマーク

このドラマは主人公リディア自身と乗客との2軸で進みますが、8話目以降はリディア自身の物語が主軸です。まずは乗客の物語から。

かなりネタバレしてますのでご注意ください。

6話:売られた宝軍人の母ガリヤは娘ソリャをポーランドへ出国させるためキーウ~ポーランド国境へのドライブ依頼します。ソリャはハンドルネーム"ブラッディ・ソウル"の名でネットゲームに夢中な13歳の少女。道中、国境で待つ父親のために買い物をしたいからとルツク(ポーランド国境近くの都市)へ寄ってほしいとリディアに依頼。リディアはフメリニツキーに居る夫ディマをルツクに呼び出します。ソリャは2人に車内で話をするように促し売店へ。2人が話込んでいる隙に、対向車線に停車した車に乗りリディアを残して去って行きます。とある日、ソリャは両親の血液型から自分が誕生しないと分かり、出生証明書を探します。自分が養子であることが判明、ゲーム仲間に出生した病院データのハッキングを依頼して母親を発見。母親は19歳で出産、法学部を卒業後に優秀な検察官になった女性で、現在は支援物資の分配を指揮する機関のリーダーとなっており、ソリャはルツクにある物資の倉庫へ忍び込みます。しかし彼女が目にした産みの母親は、物資を店へ横流ししている最低なリーダーだったのです。

7話:罪深き息子ルハンシク出身の軍人タラス。甲状腺がんを患う9歳の息子のために道路脇で助けた子犬と一緒にキーウへ目指します。道中、車が再び故障。タラスが修理に取り掛かり、その日は野宿。翌朝修理が完了し、出発のために片付けを手伝ったリディアはタラスの荷物からロシアのパスポートを発見。彼がロシア国籍のロマネンコ・タラス・アナトリエヴィッチだと分かり動揺。タラスはボランティアで知り合った軍人が仲介してウクライナ軍に入隊したことを説明します。自分はルハンシク出身のウクライナ人だと説明しますが、両親の離婚で母とロシアへ移住、学校も就職も結婚もロシアでしていました。2014年、タラスはロシアでテレビ局のカメラマンとして働いていました。番組プロデューサーの妻アリーナは息子グリブが体調を崩しても全く関心はなく、クレムリンプロパガンダを広めることに夢中。妻とは別れて8年前に息子とウクライナに来たと打ち明けます。しかし、道中の検問所で銃撃戦が勃発。すぐに車外へ出て森へ駆け込みましたが、タラスは腹部に被弾してしまい救急車で運ばれていきます。

8話:臆病なライオン

軍人タラスが病院に運ばれたため、タラスの息子グリブと付き添いの祖父アナトリーをドニプロの病院に送り届けるドライブです。グリブはタラスが拾った犬をヴァレリーと名付けます。アナトリーは過去にチョルノービリの原発事故に遭い、肺の機能を失っただけでなく身体中包帯が巻かれた状態で入院していました。妻ジーナは醜く働けないアナトリーに離婚を告げ、息子タラスと去ります。アナトリーの担当医ヴィラ・イヴァニヴァは夫と離婚寸前。人生に不貞腐れるアナトリーを治療しながら励まし続けるうちに、2人は急接近。しかし、ヴィラが夫とヨリを戻す場面に遭遇してしまい、アナトリーは去ります。その後、ヴィラから何度も電話があったが、一度も出なかったと寂しそうに語ります。ドニプロの病院でグリフの治療中、ヴィラにそっくりな女性に遭遇。リディアはその女性アリサ・ヴィクトリヴナに声を掛け、ヴィラの名前を知らないかと聞いたところ母だと答えます。アリサはアナトリーに声を掛けます。アナトリーが去った後、父は再び浮気をしたため両親は離婚。再婚せずに半年前アナトリーからの連絡を待ち続けながら亡くなったと伝えます。その時、突然空襲警報が鳴り響き、全員急いで地下へ避難。アナトリーは車に残っているヴァレリーを助けるためにミサイルが迫る中、外へ駆け出します。

9話:カッコウになった母親リディアの夫ディマと親しい芸術監督のスタスから、妻タマラと2人の子供たちがポーランドから戻ってくるため、国境まで迎えに行って自宅まで送ってほしいと依頼されます。ディマに関する情報を教えると言われたため渋々引き受けるリディア。しかし、タマラは市販薬の抗不安剤を常に服用して依存気味。薬局に寄ってほしいと言うタマラにリディアは病院へ行くように促しますが、自分は病気ではないと怒りますが、車内で嘔吐。お手洗いから戻ってくるタマラは陽性の妊娠検査薬をリディアに見せます。自宅に到着後、タマラは一人で自宅裏の桟橋へ行ってします。嫌な予感がよぎったリディアは駆け付け、寄り添います。タマラは薬を捨て、病院へ行くことを決心します。その後、リディアは匿名の依頼でフードを被った男性を一人乗せます。運転中、ディマからの着信に出ようとすると、後部座席の男から「出るな」と脅され首を絞められ、そのまま木に衝突して気を失います…

10話:カリーナの笛の物語病室で目覚めたリディア。入院中はナディアが面倒をみて、車も修理してくれました。退院時は娘ダシャがベルリンから駆け付け、リディアに代わり運転。道中で父(ディマ)と間に何があったのか尋ねますが、リディアは歯切れが悪い答えしかできず、ダシャをイラ立たせます。ベルリンに到着してからはダシャと観光。その後、ディマの愛人インガを訪ねます。しかしそこには夫ディマの姿が。リディアは動揺しますが、インガから促されたこともあり、そのまま2人で話し合います。ディマからとある真相を聞いている際、窓際に立ったディマは銃撃を受けて亡くなり、肝心な話は闇に。ベルリンでダシャと新生活を始めましたが、2週間後、リディアは荷物をまとめてウクライナへ戻ります。短く感想を付け加えますと、

6話:やっぱり支援物資を不誠実に使用する、金儲けする人達はいるもんなんだなと思って悲しくなりました。そんな中、ソリャは育ての親から愛情一杯に育ててもらうことができ、彼女がポーランドでも幸せになることを祈るばかりです。

7話:ロシアメディアがプロパガンダを行っているということでしたが、このドラマはウクライナで制作されているため、そのようになるのかなと。何を信じれば良いのかって本当に難しいなと、物語には関係ないところでしみじみ思ってしまいました。

8話:まさかのチョルノービリ原発事故の被災者が出てくるとは…ウクライナを代表する史実というか出来事の一つなんだろうなと思いました。

9話:子供達2人(姉と弟)がまたうるさいんですよ(笑)弟はやんちゃ盛りな上に、お姉ちゃんは弟に対して意地悪で、そりゃお母さんも病むよと。お母さんにちょっと同情。妊娠が判明してどうなるかと心配しましたが、生きる活力になったようで肝っ玉母さんとして再起してほしいなと応援したくなりました。

10話:ダシャちゃんがまた強気な子で、扱いが大変そうなリディアお母さん。そしてディマが愛人インガのお家で撃たれるとは…そんなことある?っというロシアンな展開に驚きました。そして肝心のリディアの物語。怪しさ満点というか、不誠実代表みたいな夫ディマがロシアと繋がっていてヤバい奴なのではと思ってドキドキワクワク視聴していましたが、実は親友ナディアが…という展開です。8話で娘ダシャが2014年に脳腫瘍を患った際、難病の子供たちのための基金によって治療を受けられたと信じていたのが、実はディマがキャッシュで治療費を払っていたことが分かりました。9話ではディマとの離婚の条件は基金の拠出金を彼に譲り、証拠の原本を渡すことだとナディアから言われます。応じないと殺されるとディマが仄めかしたと言うナディアですが…真相は10話で明かされます。まず、ダシャの治療費は自分たちの基金にロシアから送られてきたお金のおかげですが、それを手配していたのはナディア(だったっぽいですたぶん。ナディアは一時期ロシアに暮らしていたとのこと)そして2014年当時ナタリアは危険が迫っており、ディマに避難の手配を依頼。秘密情報機関の人達が乗ったバスに乗車するはずが、民間人のバスに乗車してしまい、誤って攻撃され死亡したというのが真相のようです。そして、リディアを事故に遭わせたのもナディア主導とディマは語りますが、その直後に狙撃されたため真相は闇です。ではなぜナディアはそこまでして2人を苦しめるのかということですが、2014年に偶然撮影されていた映像から、妹ナタリアがナディアとまさかの恋仲だったと分かります。見返すと、確かにリディアにその話をしかけていたんですね~切ない気持ちになりました。バイセクシャルの娘ダシャは昔ナタリア叔母さんから「私も女性が好きだから変じゃない」と言ってくれたと励まされたそう…何も知らなかったのはリディアだけだったようです。ナディアはナタリアの復讐をしていたのかなとも思いました。ディマは良い奴ではない(むしろ悪い奴)ですが、超絶クズ男でもなさそう?実際、リディアが基金のことを聞き出そうとした際、ダシャの病気が再発したのかと心配そうな素振りをしていて、良き父親が一瞬垣間見えた気がしました。結局、ディマ&リディア夫妻はナディアの手のひらで転がされていたようです…この展開は斜め上なので5話で中断するより全撮影してから放送しても良かったのでは?という気がしました。で、結局ディマはなぜ暗殺されたのでしょう?そこがよく分からず…見直した方が良いのかもですが、たぶん理解できないので他人のレビューを参考にしたいと思います(笑)

前回も触れていますが、日本に居るとウクライナは2022年の侵攻で現在も戦時中という印象ですが、ウクライナの方達からすると2014年のクリミア危機もしくはそれ以前からですでに争いや闘いは始まってくすぶっており、2022年にそのくすぶりが広域にそしてより激しくなった中で生活しているのだと思いました。この"すでに始まっている"というのが、このドラマで改めて学んだことです。劇中、ロシア語とウクライナ語が混在していて調べてみると、ロシア語が分かるウクライナ人口は結構多いようです。北朝鮮語と韓国語的な?イタリア語とスペイン語的な?スウェーデン語とノルウェー語的な?そんな似たような文化や歴史を持つからこそ憎い存在なのかもしれませんが、いち早く終戦することを願うばかりです。